2011年2月2日水曜日

価格と品質

お客様の取締役会の方々から愚痴を聞いた。
なんでもあるお役所から、「来年度からは入札により業者を決めなければならないことになった。現状、月60万円で御社にお願いしているが、落札予想価格は月40万円である。うちとしては御社に任せたい、頑張って落札してくれ」と。

落札予想金額を役所が言ってしまっているのはご愛嬌として、お客様は頭を悩ませるわけである。
今まで60万円でやっていたものを40万円でやるということは品質を落とすしかない、が、うちは高品質を売りにしてここまでやってきたわけで、悪いものを安く売るという発想がまったくないと。
それを自助努力で安く売れるようにしろ、と何も考えずにいう方もいるだろうが、コスト構造を知っている私からすれば基本的に無理な注文。
だけど、40万円で確かに入札する企業はあるという。

こんなことを思い出した。
私が会社を立ち上げたころ、あらゆるコストを安くしようと思い、書類などの配送について、通常の料金の半額でサービスを提供している●●●社と取引を開始したことがある。
通常の料金の半額である。当然にコストカットが可能であった。
が、取引を始めた初日、私はその配送業者である●●●社との取引を切った。
荷物を取りに来た方の態度があまりにも悪かったからである。「早くしろ!」くらいのことを言われた。こちらは客である。が、そういわれた。
この人がうちのお客さんのところに荷物を届けるのか、と思った瞬間、荷物を取り返し、すぐに取引解除の電話をした覚えがある。

私は安価な料金でもオペレーションなどを工夫すれば利益は出せるものだと信じていて、なので業界に最安値で乗り込んできた彼らのベンチャー精神に感服し、荷物を任せた。
ところが、彼らがやったのは仕事を質を落としてコストをカットすることであった。
もちろんオペレーションなどの工夫もやってはいたのだろうが。

その●●●社は、一時期、かなりの勢いで街に車を走らせていたが、すぐに見かけなくなった。
客に見限られたのであろう。(ちょっと調べてみたらブランドチェンジしてまだ細々と営業はしているみたい)

私は当然に、仕事の品質は同等で価格だけが安い、ということを想像したわけだが、そんなことは世の中ではまれなようである。
確かにかっぱ寿司(私は大好き)を運営するカッパ・クリエイトのように価格も安くて高品質のサービスを提供する会社もある。が、これはどうもまれであったようだ。

タクシーの運転手さんに、「急いでください!」とお願いするときも(安全に)という言葉が大前提となっている。配送をお願いする場合でも、(確実に、安心して)安く届けてくれ!という思いである。

お役所の方々も仕事なので仕方ないのはよーくわかる。私の母は公務員だし。
だけれども、完全入札制では仕事の質まではよくはわかんないんじゃないか、と危機感を覚えた今日だった。

そういや、私たちがやっている税理士業も提供するものがお客様によくわからないから、価格だけですべて決められてしまうことがある。どちらかというと、お客様に与える安心感で勝負したいな~

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